五月病もそろそろ脱出した頃。
休日はいかがお過ごしでしょうか?
早くも夏気分に浸りながら、潮風に当たりたくなる今日この頃。泳ぐだけじゃない、海で見たい念願の瞬間があるのです。
夕陽が沈む瞬間、たった一瞬だけ見える「グリーンフラッシュ」。
あなたは知っていますか?

海の水平線を緑の光線が彩る瞬間、それはあまりに奇跡的。
「緑の光線(グリーンフラッシュ)を見ると、幸せになれる」
と言われているそうです。
そんな胸踊る瞬間と出逢える、休日にぴったりの素敵な一本をご紹介します。
フランスの隠れた名作『緑の光線』

写真:1985年 フランス製作
製作会社 Les Films du Losange
タイトル 『緑の光線』
監督 エリック・ロメール
待ちに待ったバカンス。友人に旅行の予定をドタキャンされ、ひとりぼっちになった多感な独身女性・デリフィーヌ。周りの友人がみな、恋人や家族との有意義な長期休暇を過ごす中、孤独なバカンスの穴を埋めるために、色んな誘いに出向くのだが、慣れない環境はどれも自分に合わず、より寂しさを感じるばかり。そんなことからふと涙をこぼしながら、ひとり出かけた旅行先で、出逢ったものとは一体。
この作品は、第43回ヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を受賞し、エリックロメール監督といえばコレ!と言われる代表作として愛されています。
“ひとりぼっちになった時、周りの人に気を遣われて輪に入ったけど、馴染めず、かえって孤独を感じた”
という経験はありませんか?
この映画ではそんな状況の中、ちょっぴりプライドが高くて、でも寂しがり屋なデリフィーヌが、ひとり涙を流したり、強がったり、屁理屈を言ったり・・・
そんな姿がなんだか愛おしく感じられます。
どんな出逢いに運命を感じるか
主人公のデリフィーヌは、ひとりぼっちになったからこそ、新しい出逢いに恵まれました。しかし、臆病な彼女は、最初は誰にも心を開けないし、人見知りばかりで、気を遣っては疲れ果ててしまいます。
どんな新しい環境に飛び込んでも、今までの人生でのすべての出逢いに「縁」や「運命」を感じ、すべての出逢いを大切にすることって、簡単そうに見えてなかなか難しいですよね。
この映画に出てくる出逢いは、どれも日常的で、「あるある」と思わず頷いてしまうものばかり。
疲れ果てたデリフィーヌは終盤、海辺を散歩途中、ある他愛無い会話を盗み聞きします。
どうやら、
「太陽が沈む瞬間、一瞬だけ水平線が緑に見える。その緑の光線を見ると、自分と相手の心が分かる」
さらには、
「見たものは幸福になれる」んだとか。
老人たちが「あれ読んだ?」と話題にしていた「緑の光線」という小説から、ふとこんな話になるのですが、こんな世間話を偶然聞くということも、日常にありふれた出逢いのひとつかもしれませんね。
その後、帰路に着くデリフィーヌは、帰りの電車のホームで、ひとりの青年と出逢います。
なんだか彼には心を開ける気がする。この直感を、運命と信じていいのだろうか。
そんな迷いを抱きながら、勇気を出してデートに誘います。
自分に正直になって、出逢いを運命と信じるのがまだ怖かった彼女は、自らの想いを託しながら、海辺で彼と二人、夕陽の沈む瞬間を待つのです。
最後の瞬間は、主人公と同じく、観ている私たちも思わず声をあげるでしょう。
(かく言う私は、あまりの緊張感から、もはや奇声が出ました)
今ならチャンス!『緑の光線』を劇場で観よう!
私が何故今、この映画をオススメするのか。
まさに今、スクリーンで観れるチャンスだからです。
1950年代~60年代に活躍したフランス映画作家・エリックロメールの作品は、男性監督作品でありながら、どれも甘酸っぱさや切なさ、女性の特有の心の動きが細やかに描かれていて、共感した!ハマった!という若い女性も多くいるんだとか。
6/3(土)~6/23(金)まで、角川シネマ有楽町にて
エリックロメール監督の特集上映「ロメールと女たち」開催中。
公式サイトはこちら。
昨年も大好評だったこちらの企画。
今回は新たなラインナップで18作品が一挙上映されています。
もちろん『緑の光線』だけでなく、その他の作品もオススメです♪
休日にひとり、足を運んだ劇場で、デルフィーヌと同じような運命の出逢いに遭遇するかも!?
この映画を観ると、ひとりぼっちの休日も、アリだなあなんて思ったり。
是非この機会に、スクリーンでその軽やかな甘酸っぱさに溺れてください。

趣味は映画鑑賞。特技はピアノ・ドラム演奏。2016年5月よりWorld Theater Project、映画イベントFilmeet事業部に参画。