きっと雨の日が好きになる 映画『言の葉の庭』

梅雨真っ只中、雨が続く今日この頃。
電車は遅れるし、じめじめしていて、「早く梅雨が終わって!」と思っている人も多いのではないでしょうか?

けれど、ひんやりとした空気、お気に入りの傘、雨に濡れた紫陽花、雨の日だからこその楽しみって意外と身近にあるものです。

そんな雨の日の楽しみと切ない恋心を描いた映画を今回紹介したいと思います。

愛よりも昔、”孤悲”のものがたり

(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

舞台は雨の日の新宿御苑。自分の将来に迷いを感じつつも、靴職人をめざす男子高校生タカオはきまって雨の日は学校をさぼり、新宿御苑で靴のスケッチをしていた。そんなある梅雨の日、タカオは謎の年上の女性に出会う。二人は約束もなく、ただ雨の日にきまって出会う関係となり、次第に心を通わせていくのだが……。

昨年、映画『君の名は』で大ヒットした新海誠監督の第6作目の作品『言の葉の庭』。

知っている方も多いかもしれませんが、じつは新海誠監督が初めて手掛けた「恋の物語」であると監督自身も語っている作品なのです。

これまで『秒速5センチメートル』など思春期の少年少女の複雑な感情を描いてきた監督がこの作品では、愛に至る一歩手前の”恋”という感情を描いています。

美しき雨の情景描写

(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

新海誠監督の作品といえば、アニメーションとは思えないリアルな美しい風景描写。

もちろん本作でもその魅力は最大限に発揮され、なんとシーンの約8割が雨!小雨、夕立、天気雨、豪雨など様々な雨が美しく、かつ写真以上のリアリティで描かれています。

また本作では登場人物たちの複雑な感情の変化が雨によって表され、アニメーションだからこそ表現できる情景描写に注目です!

美しき言葉の数々

本作で美しいのはもちろん映像だけではありません。

「雷神(なるかみ)の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」

これは主人公タカオが新宿御苑で初めて謎の女性と出会ったとき、どこかで一度あったことはあるかというタカオの問いに対し、彼女が告げ去った時の言葉です。これは万葉集の短歌であり、物語でも重要な意味が込められています。

「夜、眠る前 朝、眼を開く瞬間 気づけば、雨を祈っている」

またこちらは主人公の雨を望む心のうちを表すシーンでの台詞。まるで小説を読んでいるかのような美しい台詞の数々。

庭園の映像美と心に響く台詞はまさにタイトル『言の葉の庭』を表した作品です。

 

「梅雨」というわずかな季節の間に見ていただきたい映画。

きっと映画を見終わった頃には、雨の日が前より少し好きになっていると思います。

ぜひこの機会に鑑賞して、新宿御苑に足を運んでみては?

記事作成者

吉永理沙(よしながりさ)
1997年生まれ。東京出身。法政大学国際文化学部在学中。
趣味は映画鑑賞、旅行。2016年11月よりWorld Theater Project / Filmeet事業部に参画。