家族がいる人は必ず観て欲しい、静かな”夏の想い出”

暑さが戻った中、夏休みもつかの間、通勤電車に揺られる大人たち。
子どもたちの夏休みは、もう終わりを告げた頃でしょうか。

良いことも悪いことも、それぞれが、彩り豊かな「夏」を過ごしましたね。

さて、

夏の想い出のひとつにはきっと「家族と過ごした時間」があったことでしょう。

そこで、今回ご紹介するのは、今こそ見て欲しい2000年代の珠玉の名作。

台湾のとある家族の、静かで美しい「ドラマ」です。

台湾が誇る「遺作」

画像:『ヤンヤン 夏の想い出』/2000年/173分/台湾・日本製作/製作会社:AtomFilms=Omega Project=ポニーキャニオン

映画レビューサイトFilmarks 評価4.2 ★★★★☆

監督は、今は亡き、エドワード・ヤン。
公開年の第53回カンヌ国際映画祭で 監督賞 を受賞した、世界に誇る映画監督です。

『ヤンヤン 夏の想い出』は、そんな彼の”遺作”として今もなお世界各国から注目されています。

日本のファンも多いこの作品。(女優の蒼井優さんがゼロ年代映画ベスト10にこの作品を挙げたんだとか!)

実は、ヤンヤンの父親の取引先の会社として、日本の会社が設定に登場。
イッセー尾形さんが日本のサラリーマン役を絶妙なリアルさで演じています。

さらによく見てみると、日本の都心部の風景もありのままに映し出されていました!
我々日本人が観るとまた違った楽しみ方が出来るかもしれませんね。

何気ない家族にこそ、ドラマがある。

台湾のとある家庭で、わんぱく盛りのヤンヤンは暮らしていました。
身内の結婚式が開催され、お祝いムードもつかの間。お婆さんが脳卒中で倒れてしまいます。
目を覚まさないお婆さんの周りで、家族はそれぞれが変化する日々の出来事に悩み、笑い、泣くのです。
年頃の姉は恋に翻弄され、お父さんは会社の経営に頭を抱え、お母さんは気が狂って姿を消してしまい・・・

お婆さんは一体どうなってしまうのか
家族はそれぞれ、どうなってしまうのか

ほんの些細な変化の繰り返しで大きな、そして静かなドラマが繰り広げられます。

私のイチオシポイントは
ゆったりと続く生活の機微な変化と、最後のシーンの”ヤンヤン”です。

子どもだからこその視線や言葉が、観る者をじんわりと巻き込んで、そっと落ち着かせてくれました。

そして、

家族って何気ない、だけど、全部ドラマだなあ

と感じました。

自分が子供だったとき、親になったとき、
それぞれの目線で、「あなたの家族」のドラマと照らし合わせながら、
静かな至福の3時間をお過ごしください。

足立茉里奈
1996年生まれ。大阪府出身。立教大学現代心理学部映像身体学科在学中。
趣味は映画鑑賞。特技はピアノ・ドラム演奏。2016年5月よりWorld Theater Project、映画イベントFilmeet事業部に参画。