映画コラム『ロスト・バケーション』

今回は夏にぴったりの、海に行きたくなる?なくなる?鮫映画のご紹介です。

本作では鮫1匹と美女1人が、とある秘境のビーチを舞台にサバイバルを繰り広げます。

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ロスト・バケーション(2016)

The Shallows

2016/7/23,86分,アメリカ

主人公のナンシーは、テキサスから亡き母との思い出深いメキシコのビーチへサーフィンを楽しみに行きます。

このビーチまではヒッチハイクで連れて行って貰うのですが、メキシコなので現地の運転手さんはスペイン語を話しています。

これが物語の鍵となるのですが、医学生で第二外国語としてスペイン語を学んでいたというナンシー。片言でスペイン語は話せるのですが「解剖のほうが得意だった」というセリフにある通り、会話がスムーズに行かなくなると「ごめん!スペイン語分かんない!」と会話を終わらせてしまったりします。

この気持ちすごくよく分かります。異国だと長く会話するのが億劫になりがち。運転手さんが優しくて、ビーチから「どうやって帰るの?」と聞いてくれていたのですが、なんとなく濁してスルーしてしまうナンシー。

そりゃあ、やっとの休暇でビーチにやって来た訳ですからテン上げで、帰り道の事なんてどうでも良いと思ってしまうのも納得です。

しかし、鮫の一撃で負傷してしまったナンシーVS鮫との長い戦いが待っていました。

実際の撮影は世界遺産にも登録されているオーストラリアの海で行われたそうで、キレイな海とダイナミックな波に乗るナンシーのサーフィン姿は清々しく、圧巻です。いいな、海に行きたいなーと思わせます。鮫の登場までは。。

海中からのカメラのアングルが鮫目線で何ともハラハラするのですが、ナンシーの波乗りシーンではノリノリのおしゃれな音楽がかかっていて、海中になるとその音楽が小さくなって、、これがすごく怖いです。

ちなみに、鮫映画というとJAWSシリーズのイメージが強い方も多くいらっしゃると思います。

鮫が近づくシーンで有名なあのデンデンデンデン…みたいなサウンドはありませんでしたが、私の心の中では鮫が来そうな時にずっと流れていました。これがまた疲れるんですよね、とても。でもやめられない、止まらない…!(それは鮫ではなく海老)

血や傷口が苦手な方は、がっつりと見られない痛々しいシーンがあります。傷口に海水がかかるのを想像するだけでもかなり痛いです、、傷口に塩を塗るということわざはナンシーがこのときに考えたと言っても過言では無いです。(ナンシー、余裕ありか)

医学を志すも母親を亡くした事によって「救えない命もある」と考えるようになり、志半ばのなかでの休暇旅行ですが、病と闘った母の様にナンシーも果敢に鮫と攻防を繰り広げます。

鮫以外にもサンゴやクラゲで満身創痍になりながらも、生き残る道を探すたくましいナンシー。自分だったらずっと岩礁の上で助けを待っているだろうなと思いました。太陽に照らされて干からびるときが来たら、もうそれまで、、いや、一緒に行く予定の友達が二日酔いで今日無理だわって言う時点で、もうそれまで、。(ド序盤)

鮫映画で見る鮫はいかにも人形っぽさが出ているイメージで、鮫はユニバでしか見た事がないので比較するのもナンなのですが、この映画に登場する鮫は人形っぽさやCGっぽさが無くとてもリアルに恐ろしいです。敵は鮫1匹、舞台は海、上映時間は86分とコンパクトな映画ですが、終始手に汗を握る展開です。かっぱ海老せんは握ってはいないんです。

この映画の原題は『THE SHALLOWS』で “浅瀬” という意味ですが、母が他界したあと残された家族に対する態度や医療の道を進む未来に対して浅はかな部分があったナンシーが、鮫とのサバイバルを通じて何を得たのか。

ステイホームによって家族との向き合い方や、自身の将来について考える時間が増えた方も多くいらっしゃると思います。人それぞれの結論があるかと思いますが、ナンシーの出した結末を是非観て頂きたいです。

お家で映画を通して夏のビーチを感じたい方、ひやりとスリルを味わい方にも、もちろんおすすめです!

最後になりましたが、残暑御見舞いを申し上げます。

残暑とは言え連日まだまだ猛暑が続きますが、くれぐれもご自愛のうえ楽しい夏をお過ごしください。

World Theater Project メンバー

飯森美貴