初めまして。青年海外協力隊でドミニカ共和国に派遣されている上林萌柚です。
2018年7月20日。ドミニカ共和国東部グアイマテという小さな町の近くにある、バテイと呼ばれるサトウキビ畑の労働者が住む集落に、映画を配達しました。作品は、「フィルとムー」そしてDigiCon6 ASIA様より提供された6作品です。

バテイとは

カリブ海に浮かぶドミニカ共和国。毎年海沿いを中心に観光客で賑わうリゾート地として有名です。一方、各都市から郊外へ向かうと、貧困世帯が住む村々があり、経済格差が顕著に現れている現実があります。特に広大なサトウキビのプランテーションに点在する集落、総称バテイの状況は、その中でも最も深刻とされています。

植民地時代、ドミニカ共和国にサトウキビのプランテーションがもたらされました。1930年代以降、ドミニカ政府は、このサトウキビを使って砂糖産業に注力しようと考え、隣国ハイチから低賃金での出稼ぎ労働者の受け入れを事業として開始。その後、プランテーション内に強制的もしくは自発的に定住した、主にハイチ人の集落がバテイです。

グアイマテ等東部地域のほかに、北部や南西部にバテイはあり、ドミニカ人が暮らしている地域もあります。このバテイで働く人々の賃金は低く、ドミニカ共和国の貧困世帯の中でも最も深刻とされており、環境は劣悪です。ハイチ人に対する人種差別も残っており、難しい社会問題になっています。

キャンプで上映会

2018年7月、グアイマテの近くにあるバテイで子どもたちを対象にキャンプが行われました。バテイ出身の若者が作り上げた、180 gradosという団体が毎年キャンプを開催しています。7月20日、バテイの1つで、キャンプのプログラムとして、映画上映会を行いました。

バテイには電気が通っていませんが、180 gradosの協力のお陰で、発電機を使い、夜、星が見える中で7作品を上映。普段は元気いっぱい走り回っている子どもたちが、目をまっすぐスクリーンに向けている様子が印象的でした。

 

記事執筆者


上林萌柚

1990年生まれ。慶應義塾大学卒業後、映像機器メーカーで働きながら、2015年より広報担当としてWorld Theater Projectに参加。2017年7月より青年海外協力隊のマーケティング職として、ドミニカ共和国で活動中。主にバテイ等の地域活性化を目指す団体に所属し、バテイを含めたサトウキビに焦点をあてたエコツアーのマーケティングに携わる。

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