こんにちは。
フィリピン留学中のWTPスタッフ薬師寺です。
フィリピンに来て3ヶ月と少し。
以前はBaguioに滞在していましたが、今はCebuに移動して勉強を続けています。
(Baguioにて実施した上映会のレポートはこちらから。)
Cebuと言えば、真っ白なビーチに青い海、ビキニ姿できゃっきゃと遊ぶ美女たち…
そのようなイメージをお持ちの方がほとんどでしょう。
間違いなくそれもまたCebuの一面なのですが、
視野を広げると正反対の景色も目に入ります。
それが、ストリートチルドレンやゴミ山などに代表される問題です。
私がCebuに滞在し始めて1ヶ月近く。Cebuは興味深い街だと感じています。
巨大で煌びやかなショッピングモールや高級ホテルがあるかと思えば、
すぐ近くに長屋のような建物が密集し外でシャワーを浴びている男性がいたりします。
言い方があれですが、まさに「貧富の差」が顕在している印象です。
DAREDEMO HERO
今回上映に協力してくださったのは、Cebuを拠点に活動している日本のNGO DAREDEMO HEROさま。
DAREDEMO HEROさまは、
「EVERYBODY CAN BE A HERO!」
をモットーに、子どもたちの学習支援や、大規模火災が発生したイナワヤン地区の被災者支援など、多岐に渡る活動を展開しています。
さて今回、6/30(日)DAREDEMO HEROさまのご協力のもと、午前と午後の2回、上映会を実施することができました。
上映作品は、おなじみのWTPオリジナル作品『映画の妖精 フィルとムー』、Digicon6 ASIAの短編集、そして「こまねこ」です。
午前の部
午前に上映会を実施したのは、先ほども軽く触れましたが、2月に大規模火災が発生し甚大な被害を被ったイナワヤン地区。
(火災の詳細についてはこちらをご覧ください。)
ちなみにこのゴミ山の写真は、映画を上映した場所から歩いて5分足らず。
家の近くにこのようなゴミ山があることを想像できるでしょうか?
日本ではありえない光景です。
でもこれがフィリピンの至る所に存在しています。
さて、実際上映した場所はというと…
家の周りにはゴミがたくさん。もちろん人々が普段生活している場所です。
私が静かに衝撃を受けている間にも上映の準備は進みます。
所狭しと家が建ち並ぶ空間にぽっかりと広がる広場。そこにスクリーンを立て、プロジェクターとスピーカーを繋げると、移動映画館は完成です。
明るいからはっきりと見えない…というもどかしさは、
暗幕、スピーカー、巨大スクリーン、という完璧なまでの環境を作り出す映画館のありがたみを改めて実感させてくれます。
上映が始まると、騒がしかった子どもたちも静かに。
(私の言葉にはちっとも耳を傾けてもらえませんでした… これもまた映画の力ですね。)
途中で風によってスクリーンが倒れてしまうというハプニングもありながら、
なんとか上映を続けていましたが、
だんだん子どもたちの集中力が途切れ始め…
遅ればせながら
「スクリーンよりもパソコンの画面の方が見やすいのでは…?」
と悟った私は、スクリーンとパソコンで同時再生。
すると私の読み通り(当然ですが)、
パソコンの画面を食い入るように見つめ始めました。
私が持っている作品を全て上映し終わると、
「One More!」
と笑顔で言ってくれる子もいました。
子どもたちに楽しんでもらえたようで私としても嬉しい限りです。
午後の部
続いて午後に映画を上映したのは、HERO’S HOUSE2。
(HERO’S HOUSE2 とは?)
上映後は、作品から受け取ったメッセージをプレゼンしてもらうという豪華なラインナップとなりました。
プレゼンでは、登場キャラクターになりきって物語を再現し、メッセージを発表するグループも。
傘を貸してくれてありがとう。
どうして恥ずかしそうなの?
たとえあなたの傘が穴だらけでも、恥ずかしがる必要はないよ。
だってほら、こんなにも綺麗じゃない。
複雑な家庭環境を持ち、これまでたくさんの困難を経験してきた子どもたち。
彼らのメッセージには、私たちの心に響くものがありました。
今回このような貴重な機会を提供してくださったDAREDEMO HEROさま、
そして関わってくださった皆様には感謝してもしきれません。
私1人では成し得なかったことを実現する事ができたのは、ひとえにご協力してくださった皆様のおかげです。
本当にありがとうございました!
今回の上映を通して
突然ですが、私の名前は「さあや」です。
子どもたちに名前を伝えると、とても嬉しそうに私の名前を呼んでくれます。
というのも、今フィリピンでは『Sahaya』というドラマが人気だそうで、
その名前と私の名前が似ているんです。
なので、自己紹介すると大概の方は私の名前をすぐ覚えてくださいます。
今回の上映で出会った子どもたちも例外ではありません。
上映が終わった後には、「Saya ! Saya !」と何度も名前を呼んでくれました。
(厳密にいうと私の名前は「Saaya」なのですが、私自身そこまで気にしていません。)
フィリピンの子どもたちはとてもフレンドリーで、すぐに打ち解けることができます。
(もちろん言語の問題はありますが。)
そんな子どもたちと交流することは、私にとって映画上映の楽しみでもあります。
しかし、今回初めてゴミ山を訪れて、そこで暮らす人々の姿を目の当たりにして、思ったことは1つでした。
私はこんなところで暮らしたくない。
気分を害される方もいるかもしれませんが、正直な私の感想です。
日本の清潔さが少し恋しかった私にとって、今回のゴミ山は衝撃的でした。
視覚はさることながら、かなりの悪臭。
それでもそのような環境での生活を余儀なくされる人々がいる。
「Saya!」と嬉しそうに名前を呼んでくれた子どもたちも、もちろんそこで生活している。
そんな子どもたちの将来は…?
HERO’S HOUSEに通う子どもたちは、幸運にも、自分たちの運命を切り拓く手段を得たと言えるでしょう。
しかし、そのようなチャンスを得ることができるのは、大勢いる中のほんの少しです。
チャンスに恵まれなかった子どもたちの今後を考えずにはいられません。
このままゴミに囲まれた生活を続けるしかないのだろうか。
この子たちは将来、何になるのだろうか。
映画を届けることは、本当に子どもたちのためになっているのか。
子どもたちのために、私ができることは。
私はなぜ子どもたちに映画を届けているのか。
様々な問いが、私がこれまで向き合うことを避けていたような問いが、
目の前に引き摺り出されました。
しかし、今回の上映を通してわかったことが1つあります。
それは「私が子どもたちに映画を届けるわけ」です。
私が子どもたちに映画を届けるわけ
私たち WTPは、映画を通して子どもたちに新しい世界を知ってほしい、そのような想いから活動しています。
そして私はその理念に共感し、活動に参画しました。
それでも、時たま
「映画じゃなく、子どもたちに届けるべきものが他にあるのではないか」
と思うことがあります。
それこそ食料やワクチンなど、子どもたちが必要としているものはたくさんあります。
それでも私が映画を届ける理由、それは、
平凡で何の取り柄のない私でも、子どもたちに大切な何かを伝えられると、
確信させてくれるからです。
もちろん食料などは、子どもたちの生活にとって必要不可欠です。
しかし私は、映画が観る人に伝えようとしているメッセージも、それらと同等に大切であると考えています。
生きていく上で大切なことを、私のチカラでは子どもたちに伝えることはできないけれど(私は言語化が究極に苦手なのです)、
私が届ける”映画のチカラ”によって、子どもたちに伝えることができる。
子どもたちが映画から受け取ったメッセージが、
いつか彼らの人生で光り輝く日が訪れることを信じて、
私はこれからも、子どもたちに映画を届けます。
執筆者
World Theater Project / 薬師寺 沙彩
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