こんにちは!
World Theater Projectの薬師寺です。
先日、チャップリン作品『街の灯』の上映レポートを公開いたしましたが、
(『街の灯』上映レポートはこちらから)
今回は念願のディズニー作品『バズ・ライトイヤー』(2022)の上映について
「上映実現までの道のり(前編)」と「実際の上映の様子(後編)」に分けて赤裸々にお伝えしてまいります!
© 2022 DISNEY ENTERPRISES, INC. & PIXAR. All Rights Reserved.
『バズ・ライトイヤー』作品情報
有能なスペース・レンジャーのバズは、自分の力を過信したために、1200人もの乗組員と共に危険な惑星に不時着してしまう。地球に帰還するため、バズは猫型の友だちロボットのソックスと共に絶対に不可能なミッションに挑む。その行く手には、ずっと孤独だったバズの人生を変えるイジーや個性豊かな仲間たちと、思いもよらぬ“敵”が待ち受けていた──。
ディズニー公式HPより
上映の許可をいただくまで
今回上映の許可を頂いたのは、ディズニー作品に限らず様々なスタジオ作品の非劇場上映権を管理している海外の配給会社A。
結果として、上映期間限定、かつ上映回数限定の条件のもと、『バズ・ライトイヤー』に加え、『私ときどきレッサーパンダ』(2022)、『ストレンジ・ワールド もうひとつの世界』(2022)の計3作品のカンボジアでの上映許可を頂くことができました。
(C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
(C)2022 Disney. All Rights Reserved.
が、実は最初からディズニー作品の上映を検討していたわけではありません。元々は他大手スタジオのとある人気アニメーション映画Bを上映したいと考えていました。
というのも、有名スタジオ作品でクメール語吹き替えがほとんど作られていないなかで、「映画Bにはクメール語吹き替え版がある」という情報を入手したからです。
クメール語吹き替えを求めて
映画Bの非劇場上映権は同じ配給会社Aが管理していることがわかったため、「映画Bのクメール語吹き替えを上映できる!」と私たちはウキウキしていました。
しかし、ここで私たちの前に壁が立ちはだかります。
映画Bのクメール語吹き替えの上映素材(DVDやデータなど)がどこにも見つからないのです。
そもそも映画Bのクメール語吹き替えはテストで制作されたものだったらしく、世間に流通していたわけではありませんでした。よって、映画Bのクメール語吹き替えのDVDなどは販売されていなかったのです。
配給会社Aはそもそも、映画Bのクメール語吹き替えが存在することを知らなかったので、当然上映素材も持っていません。
よって、私たちは自分たちの力で、映画Bのクメール語吹き替えの素材を入手しなければなりませんでした。
早速、制作を手がけた大手スタジオや、映画Bのカンボジアでの配給権を管理している企業に問い合わせ。
しばらく待ちましたが、返答はありません。
1回でお返事を頂くことができるとは思っていなかったので、ある意味想定の範囲内。
しかし、その後も何度か問い合わせを送りましたが、結果は同じ。
映画Bの上映素材獲得が難航したため、配給会社Aの担当者さまとの連絡も途絶えてしまいました。
A NEW HOPE ~新たなる希望~
(※スターウォーズとは関係ありません。)
映画Bのクメール語吹き替えを探し始めてから3ヶ月の月日が流れました。
” 私たちにとって大手スタジオの作品はまだ手の届かない存在なのか… ”
そう思い始めた矢先、配給会社Aのご担当者さまから、とあるご提案を頂いたのです。
How about Khmer subtitles for the children‘s viewing ?
「クメール語字幕の映画はどう?」
私たちは今まで主に、上映する国の言語で吹き替えられた映画、あるいは言語のない映画を、子どもたちに届けていました。
子どもたちの中には、文字を読むことができない子もいるからです。そしてなにより、自分たちの言語でつくられた映画を楽しんでもらいたいと思っています。
よって私たちは、”子どもたちの言語”で作品を届けることにこだわっていました。
上映の許可を頂いている作品のなかには、クメール語吹き替えを制作し、子どもたちに上映しているものも複数あります。
残念ながら、クメール語吹き替えのある良質な映画は多くありません。子どもたちが楽しめる作品、となるとさらに作品数は少なくなります。
私たちが当たり前のように日本語吹き替えを楽しんでいる大手アニメーション作品のほとんどに、クメール語吹き替えは存在しません。
だからこそ今まで私たちは、クメール語吹き替えを自分たちで準備してきました。そしてやはり子どもたちは、クメール語吹き替えだと難なく物語を理解できるため、映画を楽しむことができます。
しかし、クメール語吹き替えを届けるには限度があります。複数の日本のアニメーション作品にクメール語吹き替えを準備しましたが、数は多くありません。
子どもたちに届ける映画のレパートリーの少なさは、弊団体の課題でもありました。
そんな時に、クメール語字幕のご提案が舞い込んできました。しかもご提案に含まれていたのは『バズ・ライトイヤー』をはじめとするディズニーの最新作品。
「吹き替えが理想だけれど、字幕だとしても、世界が誇るアニメーションスタジオ ディズニーの映画を子どもたちに観てもらいたい。」
この考えは団体内で一致し、私たちは念願のディズニー作品をクメール語字幕(音声:英語)で子どもたちに届けることを決めました。
上映に至るまで
さて、いざディズニー作品を上映すると決めたものの、それからの道のりも大変でした。
配給会社Aは独自の再生システムを使用しており、そのシステムは実に画期的で素晴らしいものだったのですが、いくつか課題がありました。
それは例えば、映画の本編データをダウンロードするために十分なインターネット環境が必要、という点や、私たち日本人にとっては簡単でもカンボジアの現地スタッフにはシステムが複雑すぎる、という点などが挙げられます。
特に1つ目のインターネット環境について。
今回の『バズ・ライトイヤー』が初の上映だったため、現地スタッフに任せるのではなく、日本人スタッフの山中が渡航した際に本編データのダウンロードを試みました。
しかし、そもそもの上映時間が105分のためデータ自体が大きく、加えて現地のインターネット環境が十分でなかったため、ダウンロードは難航。
結局、朝4時(!)、人がほぼインターネットを使用しない時間帯を狙ってダウンロードを遂行しました。
ダウンロードが完了したところで、やっと、上映です!
(準備中・・・)
さて、実際の上映の様子は後編にてお伝えさせていただきます。
お楽しみに…♪
▶︎▶︎To be continued・・・
World Theater Project 薬師寺
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