バングラデシュ 長い雨季が始まっても 映画で楽しもう!

2018年4月29日〜5月1日。バングラデシュの北東部、シレット管区モウロビバザール県スリモンゴルで、3つの学校に映画を配達しました。作品は、「フィルとムー」…そして、なんと4月28日に日本から受け取ったばかりのアニメーション作品集「DigiCon6 ASIA」です!

スリモンゴルの茶畑を抜けて

バングラデシュのお茶の名産地、スリモンゴル。その広大な茶畑は、この国が 東パキスタンだった頃よりも遡り、イギリス領インド帝国時代からここにあるものです。茶畑では、ベンガル人、ヒンドゥー(ベンガル人の中でもヒンドゥー教徒の人々を指す)、少数民族ではサンタル族やガロ族と、スリモンゴル近辺に暮らす 複数のコミュニティのワーカーが働いています。


4月の終わり、バングラデシュでは なんとなく雨期が始まったようで、学校への道中、茶畑で寄り道をしていると…


雨が降り始めてきてしまいました!!!

ワーカーさんたちの仕事は一時中断、移動映画館の道のりも 少し悪くはなるけれど、
茶畑にとっては水分補給時間、大切な自然の恵み…
そんな風に自然の様子を少し眺めた後、雨が弱めになったところで、目的の学校へ向かいました。

カシア民族の村へ

モニプリ民族の友人が 前調べをしてくれていた カシア民族の村の学校へ。
晴れの日に 子どもが外へ飛び出す姿にキュンとして、ここへ行きたい!と言いました。

だけど、訪れたのは雨の日。逆に それで良かったかも?と思えたほど、クラスが終わってしまった後 ちょっと憂鬱な空気の教室に、いつもの「フィルとムー」に加え、前日手にしたばかりの「DigiCon6 ASIA」(6本のアニメーションが詰まったオムニバス作品、計30分)が 雨の日の放課後を彩ったように感じます。私も前夜にチェックしたばかりの ほかほかのDVDを、初上映しました。(この場を借りて、日本からDVDを運んでくれた友人にも感謝!)



1〜5年生の子どもたちと、就学前の子も1人(カシア族の先生の子ども)。雨の日の教室で、映画を観たこと…心のどこかで、覚えていてくれたらいいな。この日の集合写真が 今回の表紙です。

コミュニティスクール

車で行ける通りから、荷物を背負い、ラワチョラ・フォレストと呼ばれる この辺りで有名な森の中の小道を歩いて進むこと およそ20分…ここもカシア族の村です。先の学校が政府運営だったのに対して、こちらはコミュニティスクールといって、カシア族の村長と村人たちによって 協力して営まれている学校…というより 小さなスペース。



まるで 七人の小人の家?と思うくらい、並んだ履物や小さな黒板が可愛かった…けれど、可愛い だけでは済まないことや 苦労もあるはずなので、これから少しずつ 子どもたちにとって学びやすい環境が整っていくように できる限り応援しなければ!と思います。


今はまだ、現地でコアとなる映画配達メンバーができていないのですが、昨日の教室を手伝ってくれた チャクマ族の友人が スクリーンの組み立てを覚えていて、率先して準備を手伝ってくれました。また私も、窓のない教室を数回経験したため、今回は黒い布を準備して行き それで窓を塞いでみたのですが、少し足りませんでした。今は、わりと 携帯するのに便利なプロジェクターなことを優先していたので、映写の面では光量が弱いという悩みがあります。


DigiCon6 ASIA の作品集の中で「Dado」というインドの作家さんのものは、インドと隣国であるバングラデシュと背景が同じだったり、音楽も馴染みのリズムで、子どもたちにとって分かりやすそうでした。「森のなかの大きな家」では、女の子が椅子からひっくり返るシーンがあり、それも子どもたちがよく笑う瞬間で、そうした大きなアクションが好きなのね…と、色々な表情をする彼らの反応が こちらも興味深いです。

電気は一年前に通ったばかりというこの村。村長と同意見だったのは、電気が通ったことが 良いとか悪いとかは さほどのことではなくて、ただ これから少数民族(コミュニティ)の暮らし方を無視した政策や開発が入ってくるのが恐いと…だからこそ、コミュニティの子どもたちにきちんと教育機会を与え、守り、民族を担うようになってほしいと…そのためのコミュニティスクールだと話をしました。そんな大切な村の子どもたちに、また 教材になるような映画でも何でも、喜ばれるものを 運んでいけたらいいなと思います。


トタン製の教室で

今回の最後に向かった トタンの屋根や壁でできた学校では、教室に 外から雨の打ち付ける音が激しく響き渡り、見せたアニメすべてが 雨の物語だったかな?と思えて 笑ったことが印象に残っています。子どもたちは ちょうど試験終わりで、そのご褒美!というように 先生が移動映画館を紹介し、子どもたちも目を輝かせてくれました。

ちなみにここは、ベンガル人とトリプラ民族の子どもたちが一緒に学んでいる学校でした。
これから もっともっと、色々な学校、村、子どもたちに出会っていくことが 楽しみです!

カシア民族の子ども

カシア民族名物「カシア・パン」。「パン」とは 英語でBetel Leaf、日本語で「その葉」のこと。バングラデシュに限らず インド~東南アジアで、ナッツと少量の石灰をこれに包み 噛んで楽しむという習慣があります。「バングラ・パン」と「カシア・パン」がこの国の2大パンで、前者は甘く、後者は辛いのが特徴。主に年配の女性が好みます。パンを噛むと 唇がやや赤くなって、綺麗に見える気がします。私たちはそれを「天然のリップグロスだね」なんて言ったりします。また、カシア族はキリスト教徒、女系一族(婿入り婚)です。

原田 夏美

日藝映画学科卒業後、ドキュメンタリー制作会社の勤務を経て、学生時代に映像課題のテーマにしたバングラデシュに2014年より暮らし始める。中でもチッタゴン丘陵地帯や少数民族地域と深く関わり、写真・映像制作を行う。現在は活動名を “ChotoBela works” とし、バングラデシュの子どもたちの「子ども時代」(チョトベラ)を彩れるよう、映画上映を含む活動に取りかかる。