2019年10月10日に、グアテマラの貧困地域で2ヶ月間たった1日1ドルで生活した若者たちの実践ドキュメンタリー『1日1ドルで生活』の上映と、「映画はきっと、世界をより良くするためにある」と信じる二人のトークショーを開催しました。
※2018年より「丸の内映画ナイト」としてUSHIO COMMUNICATION LABにて開催させていただいておりました映画上映イベントを、今後は「CINEMA AID(シネマエイド)in 丸の内」に名称を改めまして開催してまいります。今回は「CINEMA AID in 丸の内」のプレイベントとなります。
今回は新たな試みとして、参加者のyotsuさんにイベントレポートをお願いいたしました!
yotsu(@yotsumemo)さん
note:https://note.mu/yotsumemo
twitter:https://twitter.com/yotsumemo
■「CINEMA AID in丸の内」プレイベントに潜入
はじめまして、yotsuと申します。私は、World Theater Project(以下、WTP)代表の教来石小織さんの著書「ゆめのはいたつにん」を読んだことで遅ればせながらWTPさんの活動を知り、今回のイベントに参加することができました。参加者の立場でレポートさせていただきます!
「CINEMA AID in丸の内」の会場はひかりのメーカー・ウシオ電機株式会社さんの「USHIO COMMUNICATION LAB」。大手町駅直結の便利な立地にあって、とってもおしゃれな空間なのです。
受付では東京キリンビバレッジさんとのコラボで、今回上映する映画に合わせ「生茶」と「iMUSE(イミューズ)」が配られていました。時間ぎりぎりに駆けつけた私は、プラズマ乳酸菌が気になる「iMUSE」に喉を癒されつつ、映画を見終えたらこのセレクトに深く頷くこととなりましたよ。ドリンクを映画に合わせるという考えがあまりなかったのでとても新鮮でした。
会場はすでに満員御礼、年齢層も幅広いお客様でとても活気がありました。
ウシオ電機さんの高性能プロジェクターをつかった映画の上映からスタートです。
■『1日1ドルで生活』ってどんな映画?
『1日1ドルで生活』 原題:Living on One Dollar 2013年/アメリカ/56分
監督:クリス・テンプル、ザック・イングラシー、シーン・レオナルド
配給:ユナイテッドピープル/協力:国際NGOプラン・インターナショナル
http://www.livingononedollar.org/
上映作品はドキュメンタリー映画『1日1ドルで生活』。
アメリカの若者4人が、中米グアテマラの貧困地域で約2ヶ月間たった1日1ドルでの生活に挑むという、彼らの目線で撮られた記録映画です。
グアテマラのペニャ・ブランカという、マヤ系のカクチケル族が暮らす貧困地域といわれる村での生活。少ないお金をどうやりくりするかというサバイバル的な様子にはらはらしながら、まずは貧困が日常にある人々の生活実態を知ることになります。
そして青年たちが様々な経験を通じて村の人々の等身大の苦しみや悩みに気づいていく過程を、一緒になって追体験しました。貧しい生活でも、人を思いやる豊かな心や、子どもたちの向上心や夢に触れていきます。「貧困の原因は人ではなく環境」という気づきのモノローグが、印象的でした。
この上映会は国連が制定した国際ガールズ・デー(10月11日)に合わせて行われる全国上映キャンペーンに参加していました。映画に出てくる20歳のローサさんは、看護士になりたいという夢を貧困により諦めていた女性。そんな女性が希望を抱く未来のため、まずは知る機会を提供するべく、日本では今年42箇所での上映が決まっているそうです。
■映画の力で世界を変えられるのか
上映後、この映画の配給を手がけているユナイテッドピープル株式会社の代表、関根健次さんから講演をいただきました。テーマは「映画の力で世界を変える」。
映画を届ける仕事をして世界中を飛び回ってきた関根さんは、「平和とは、選択肢があること」だといいます。貧困だから働くしかなかった、という映画に出てきた子どもたち、女性たち。彼らに選択肢を作ることができれば、それが平和な状態へつながっていくのです。
映画は直接課題解決ができる訳ではないけれども、手段・道具として現実世界を変えていくことがある。その事例が『1日1ドルで生活』なのです。この映画は世界中で評判を得て、具体的な融資や支援を取りつけるなど、支援の輪がどんどん広がっているそうです。
関根さんの講演で印象的だったのは、「世界を変えるには、まず、自分を変えること」という言葉でした。
「映画を観る → ディスカッション(深める)→ つながる → 変える(行動)」
その最初のきっかけがこのイベントになること、この場の皆さんが実感することになったのではないでしょうか。ぜひ深めていきたいですね。
ユナイテッドピープルさんは「映画の市民上映会でよりよい未来を」を目指す活動をされています。上映会を主催、参加してみたいなどあれば、ぜひこちら(→cinemo)をご覧ください。
映画の力で私たちに社会の課題を伝えてくれる人
関根 健次 氏 (Kenji Sekine)
ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役
一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事
ピースデー・ジャパン共同代表
PEACE DAY財団理事
1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒(米国)。大学の卒業旅行で世界半周の旅へ出る。途中偶然訪れた紛争地で世界の現実と出会い、後に平和実現が人生のミッションとなる。2002年に世界の課題解決を事業目的とする非営利会社、ユナイテッドピープル株式会社を創業。ネット募金サイト「イーココロ!」やネット署名サイト「署名TV」の運営を経て、2009年から映画事業を開始。2011年から国連が定めたピースデー、9月21日を広める活動を開始。同年、一般社団法人国際平和映像祭を設立しピースデーに毎年国際平和映像祭(UFPFF)を開催している。2016年4月から家族4人で世界一周の旅へ出て約1年、21世紀の理想的国家として注目されるコスタリカに暮らした。著書に「ユナイテッドピープル」がある。
■映画配達人の可能性
続いて、関根健次さんと、WTP代表の教来石小織さんによるトークセッションへ。
そう、関根さんの活動とWTPの根本は同じ、「映画の力で社会を、世界をより良くしたい」という信念をもって事業を展開していることです。
関根さんは、教来石さんがたった一人ではじめた移動映画館がいまや大きな広がりを見せていることに驚かれているそうです。途上国の子どもたちへ映画を届けることで、そこに新たな夢が生まれる可能性に加えて、「映画配達人」という雇用も生み出している副次効果にも注目されていました。
2012年にカンボジアからはじまった映画配達のプロジェクト。今ではカンボジア、ネパール、バングラデシュ、マダガスカルの4カ国でコンスタントに開催できるようになってきて、その他単発開催の国も含めて、届けた映画を観た子どもたちの数は7万人に。映画配達人は約100人にもなっているそうです。
貧困から脱するには、周りからのサポートが必要で、そこから自己肯定感が生まれ、本人の活力につながります。まさに映画配達人の仕組みは、大人たちへのサポート活動にもなっているんですね。
教来石さんは最近「イラストでわかる映画の歴史 いちばんやさしい映画教室」という本を読んで、「いつかこの本の1ページになりたい!」という思いを著者の方に伝えたそうです。文字通り、映画にまつわる新たな歴史の1ページになりたいという思い、そしてすぐ行動に移すという行動力が伝わるエピソードでした。
関根さんの信念は「想像できる社会はできる」。
だから、想像力をもつことが大事だ、という思いを改めて伝えてくださいました。
映画『1日1ドルで生活』は、想像力が鍛えられる映画でしたし、「映画はきっと、世界をより良くするためにある」と信じるお二人の言葉にぴったりでした。
お二人こそが映画配達人の親分(?)のようにも感じ、そのお顔が見えたことで、私たちにできるサポートのあり方を考える機会にもなりました。
映画を見た後だからこそ、このような時間がより価値ある体験になるんですね。
集合写真から、参加された皆さんもきっと充足した時間だったことが伝わるかしら?
yotsuさん、素敵なレポートありがとうございました!
今後も参加者様からの寄稿を掲載できればと思っております。
募集は、CINEMA AID公式LINEアカウントより行います。
ご興味のある方は是非お友達になってくださいね!
■CINEMA AIDとは
映画をもっと、みんなのものに――
映画体験は私たちに様々なものを与えてくれます。
たとえば新たな夢のきっかけだったり、ひと時の癒しだったり、新たな知識だったり、国境を越えた友情だったり……
この世には、そんな映画を数多く享受できる人々がいる一方で、まだ一度も映画体験をしたことがない子どもたちもいます。
たとえばカンボジアの農村部、エベレストの小さな村など、途上国の映画館がない地域に暮らす子どもたちです。
CINEMA AIDを主催するNPO法人World Theater Projectは、そうした子ども達に移動映画館で映画を届けている団体です。利益はすべて、子ども達へ映画を届ける活動に使われます。CINEMA AIDに参加して、人生初の映画体験ができる子どもたちを増やしませんか?
「CINEMA AID」という名前は、リーダーシップ研修プログラム「ALIVE」 のご協力で、「途上国の子どもに “移動映画館”を届けるため、持続可能な収入源を確保する」というテーマへのディスカッションから生まれました。
Special Thanks:一般社団法人ALIVE チームBlack、チームA、稜之大介様(ロゴ制作)
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